Ⅳ章： 「水晶」の人　

　ここで私は、事前に記入してもらいチェックしていた「問診票」の項目に目を通しました。「Fear恐怖」の項目には「先端恐怖症」と、「Dream夢」には「ピンの夢」と書かれていました。「チクチク」と「尖った」何かは、形を変えて彼女の心に再現されています。これらを「Delusion妄想」と同じ六番目のセルに入れました。次は「子供時代」の項目です。彼女の母親は予期せぬ妊娠に驚き、乳幼児期は主に祖母が育てたそうです。母乳を嫌がり、離乳食の切替えも頑固に拒み、数日間食事無しで放置された事もあったと。小児期は大食なのに痩せており、ひょろりと猫背でした。身体には奇妙な栄養不足がある一方、精神は早く自立したお利口さんでした。「愛されないと生きられない。自分でやらないと」―「ケア」と「栄養」。彼女の基本的な「Themesテーマ」が浮かんできました。