Ⅳ章: 「水晶」の人 

チクチク突くもの

 「私らしさを知ってもらえないとどうなる?」「苦しくなる。ここが」。彼女は心臓辺りに拳を当てました。「何を感じる?」「チクチクします」。拳は固く握られ、エネルギーを感じました。GOサインです。私はそのジェスチャーを真似つつ尋ねました。「続けて。チクチクについて話して。今迄の文脈は忘れて」「…中に何かあるみたい…尖ったもので、何かが突いてくる…小さな剣のような…」。内省的になった彼女は、身体感覚を解説しはじめました。「小さな剣のようなもので、何かが突いてくる」のは「Delusion妄想」。現実に刺激物はなくても、本人にはそう想われる表象です。更に「チクチク」や「尖る」は、副詞や形容詞であり、表象を形成する前のレベル、「Sensation 感覚」と呼ばれる、普遍的な彼女の「気」の性質のようでした。六番目の七番目のセルがこうして埋まり、私は確信を深めました。

チクチク突くもの

 「私らしさを知ってもらえないとどうなる?」「苦しくなる。ここが」。彼女は心臓辺りに拳を当てました。「何を感じる?」「チクチクします」。拳は固く握られ、エネルギーを感じました。GOサインです。私はそのジェスチャーを真似つつ尋ねました。「続けて。チクチクについて話して。今迄の文脈は忘れて」「…中に何かあるみたい…尖ったもので、何かが突いてくる…小さな剣のような…」。内省的になった彼女は、身体感覚を解説しはじめました。「小さな剣のようなもので、何かが突いてくる」のは「Delusion妄想」。現実に刺激物はなくても、本人にはそう想われる表象です。更に「チクチク」や「尖る」は、副詞や形容詞であり、表象を形成する前のレベル、「Sensation 感覚」と呼ばれる、普遍的な彼女の「気」の性質のようでした。六番目の七番目のセルがこうして埋まり、私は確信を深めました。