Ⅲ章： 「サボテン」の少年　

　「Peyoteペヨーテ：学名Lophophora williamsii /一般名Mescal buttons /和名ウバタマ」は、サボテン科ロフォフォラ属の多肉植物です。暗い青緑色で針山状の丸い根に、棘代わりのうぶ毛が生えています。発育は遅く直径10センチを超えるのは稀ですが、傷つくとそこから新しい根が生えてボコボコと増殖・肥大化します。水が足りると膨張し、足りないと縮んでしぼみます。様々な高濃度アルカロイドを含み、幻覚作用をはじめ強い薬効があります。その為ネイティブ・アメリカンを中心に、シャーマニックな儀式や病気治療に多用されてきました。幻覚性ドラッグとしての特徴は、全体験が増強されて鮮やかになる事。万華鏡的・幾何学的なイメージが見え、聴覚は鋭敏になり、共感覚や体外離脱体験なども起こります。ただ、食べると苦く吐き気がします。面白い事に種によっては、表面の模様が五芒の星型なのです。