共感 NO ? その一
随分前になるが、診察した患者さんから、こんな質問をされた事がある。「私は医学部志望なんですが、自分が医者に向いているのかはっきりしません。先生ご自身のお考えでは、医者にとって一番必要な資質って何だと思われますか?」。彼女は母校の後輩らしく、同窓会名簿を調べ、開業医を訪ね歩いていたようだ。そういえば見慣れたブレザーの制服と校章。張りのある頬をした童顔の少女だったと思う。その容貌と実行力のギャップ、真摯さに驚いた私は、その場で腕を組んだまま「うーん」と唸り、熟考モードに入っていた。「…患者さんと医者の双方の立場を…自在に行き来できる事かと思います」。特に考えて捻り出したのではなく、降りてきて勝手に口から出た台詞だった。「ありがとうございました」。少女の目は一瞬きらりっと光り、それ以上突っ込みもせず、さっさと診察室を後にされた。旋風の様だった。この答えは的を突いてるなと、今でも思う。
共感 NO ? その一
随分前になるが、診察した患者さんから、こんな質問をされた事がある。「私は医学部志望なんですが、自分が医者に向いているのかはっきりしません。先生ご自身のお考えでは、医者にとって一番必要な資質って何だと思われますか?」。彼女は母校の後輩らしく、同窓会名簿を調べ、開業医を訪ね歩いていたようだ。そういえば見慣れたブレザーの制服と校章。張りのある頬をした童顔の少女だったと思う。その容貌と実行力のギャップ、真摯さに驚いた私は、その場で腕を組んだまま「うーん」と唸り、熟考モードに入っていた。「…患者さんと医者の双方の立場を…自在に行き来できる事かと思います」。特に考えて捻り出したのではなく、降りてきて勝手に口から出た台詞だった。「ありがとうございました」。少女の目は一瞬きらりっと光り、それ以上突っ込みもせず、さっさと診察室を後にされた。旋風の様だった。この答えは的を突いてるなと、今でも思う。