Ⅵ:ホメオパシー枕草子

色は匂へど その三

そのゲームには「声出しが被ったら1からやり直し」と言うルールが在った。自己紹介の名前と声も一致しないうち、ゲームは始まった。誰からとも順番も決まって無い。「1」。「2」。「3」「3」「あー」。当初こんな風に振出しに戻ったが、そのグループは数回チャレンジして「10」まで行けた。「これは凄いです」とアテンドの方が褒める。「日本人はこのゲームの習得が速い」。所謂「空気を読む」能力か?と思い巡らす。休憩では「飲み物は何が良い?」と聞かれる。「コーラ」「ジュース」…。正しく配れる秘密を教わる。「整理しています。私達には何処に何があるかが重要」。色の無い世界で何かが働く。いつの間にか我々は見えない層で触れ合い、各自の色を溶かしていた。イベントを終え廃校を去ると、背後から大きな声がした。「**さーーん!」。大学生の男の子がぶんぶん手を振っている。私は反射的に叫んでいた。「また会いましょう!」。

オランダRoyal Tichelaar Makkum社製の陶磁器。
表面の模様を触ると、誰のカップか判別できる。
https://www.tichelaar.nl/projecten

色は匂へど その三

そのゲームには「声出しが被ったら1からやり直し」と言うルールが在った。自己紹介の名前と声も一致しないうち、ゲームは始まった。誰からとも順番も決まって無い。「1」。「2」。「3」「3」「あー」。当初こんな風に振出しに戻ったが、そのグループは数回チャレンジして「10」まで行けた。「これは凄いです」とアテンドの方が褒める。「日本人はこのゲームの習得が速い」。所謂「空気を読む」能力か?と思い巡らす。休憩では「飲み物は何が良い?」と聞かれる。「コーラ」「ジュース」…。正しく配れる秘密を教わる。「整理しています。私達には何処に何があるかが重要」。色の無い世界で何かが働く。いつの間にか我々は見えない層で触れ合い、各自の色を溶かしていた。イベントを終え廃校を去ると、背後から大きな声がした。「**さーーん!」。大学生の男の子がぶんぶん手を振っている。私は反射的に叫んでいた。「また会いましょう!」。

オランダRoyal Tichelaar Makkum社製の陶磁器。
表面の模様を触ると、誰のカップか判別できる。
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