ハレとケとケガレ その三
特番で東北の海辺を見て、或る患者さんを思い出した。12年前3.11の翌日に初診でいらした方。私は前日から情報収集や友人達との連絡に追われていたが、当日は不思議とその話題にならず、カウンセリングは淡々と進んだ。彼女には小児期から見る夢があった。「天井が下がる夢」。尋ねると、答えはこう続いた。「自分の体が変になる」「手だけ大きくなる」「何か大きな荷物を支えている」(両手を広げ上向け支えるジェスチャー)」「自分はこの為に生まれてきた」「あまりにも大きくて受け取れない」。「受け取れないとどうなる?」と問うと、「世の中が大変なことになる」と答えた。「自分」がではなく「世の中」がである。また「重い」「密度が濃い」「藍色っぽい色」の中に居ると言った。私は二枚貝のレメディーを選んだ。こんな小さな生き物が、海水の重圧に耐え、己の生を全うする事で、この世を支えようとしている。翌日、私は海へ捧げ物をしに行った。
ハレとケとケガレ その三
特番で東北の海辺を見て、或る患者さんを思い出した。12年前3.11の翌日に初診でいらした方。私は前日から情報収集や友人達との連絡に追われていたが、当日は不思議とその話題にならず、カウンセリングは淡々と進んだ。彼女には小児期から見る夢があった。「天井が下がる夢」。尋ねると、答えはこう続いた。「自分の体が変になる」「手だけ大きくなる」「何か大きな荷物を支えている」(両手を広げ上向け支えるジェスチャー)」「自分はこの為に生まれてきた」「あまりにも大きくて受け取れない」。「受け取れないとどうなる?」と問うと、「世の中が大変なことになる」と答えた。「自分」がではなく「世の中」がである。また「重い」「密度が濃い」「藍色っぽい色」の中に居ると言った。私は二枚貝のレメディーを選んだ。こんな小さな生き物が、海水の重圧に耐え、己の生を全うする事で、この世を支えようとしている。翌日、私は海へ捧げ物をしに行った。