Ⅱ章：「真珠貝」の人　　

　件の患者さんの後日談をお話しします。好ましい変化は精神面から始まりました。鬱・不安・被害者意識・劣等感・強迫症・頑固さ・過敏さ・自意識過剰・コミュニケーション障害・依存心など―深く積もっていた心の問題が、シリアスな順から早々に雪解けの如く消えていきました。同時にご自身で気づかれた事がありました。半生の長きに渡り問題だった状況には一連のパターンがあり、それに囚われ慣れ親み無自覚に反復してきた事実。今度はそれらを受け入れ、手放し、今を生き始めました。さて「気」の流れを河川に喩えると。源に十分貯水され、水門が一気に開き勢いづいて降る流れは、澱んだ場所で少し溢れたりします。それに似て昔の症状が一時出たり、排泄が増えたりするのです。この方の場合、心身が元気になると同時に脚の痛みが再発し、股関節・膝・足へと移動しました。それは「治癒の法則」通りの順番で、不安はありませんでした。